明治期に欧米への輸出向けに日本で製作されたカップ&ソーサーです。
エッグシェルと呼ばれる繊細で薄い生地は当時とても高く評価されていました。
明治期の輸出向けの磁器は、明治の中期〜後期になると大量生産になり絵付けや細部が大味なものが主流になってくるのですが、初期のものは江戸時代からの職人の手仕事が光る逸品が多く見られます。
こちらのカップは、シェイプに合わせて水色の小さい花を背景に牡丹の花と周りを飛び交う蝶が描かれており、カップ高台の裏やソーサーの中央等、見えない部分にまで丁寧にハンドペイントで絵付けがされています。
薄い生地に水彩画のような透明感のある画風がとても良く合っており、一輪の牡丹がそのままカップになったかのようです。
ふちは単純な金彩ではなく、黒字に金で模様が入れられています。
ハンドルは節のある竹を模したものです。
絵のタッチやモチーフ等、全体的に日本らしさが感じられるカップ&ソーサーです。
ソーサーの裏には北川造とサインがある他、漢字で刻印が打たれています。
サインからおそらく横浜で作られたものではないかと思われます。
ふちにわずかにかすれが見られるものの、その他にはひびやかけ、貫入のないベリーグッドコンディションです。
ソーサー中央のカップと当たる部分にも擦れ等のダメージが見られませんので、ほとんど使用される事なく、大切に飾られてきたのではないかと思います。
生産地 日本(横浜)
年代 1880年頃
サイズ カップ (口径9.5cm 高さ4.5cm)
ソーサー(14cm)
状態 ベリーグッドコンディション
2017年05月24日掲載
Note: 表記についての補足説明